プロテインと言えば「ホエイプロテイン」というほど、最も一般的で広く認知された、いわば「キングオブプロテイン」と言っても過言ではないプロテインです。
様々な研究により、筋肉の発達に効果があるという結果が示され、ワークアウト愛好家からアスリートまで一般的に使用され、もはやスタンダードなスポーツ栄養プロテインです。
今回は、そんなホエイプロテインの基礎知識やWPC・WPIなどホエイプロテインの種類、特徴や選び方など徹底解説していきたいと思います。
自分の目的に合った、結果にコミットできるプロテイン選びに活用してください!
目次
ホエイプロテインとは?

ホエイプロテインは、吸収の早さからトレーニング後など疲労した筋肉の回復や栄養補給に最も効果的なタンパク源だと言われています。まずはホエイプロテインの基礎知識からみてみましょう。
ホエイプロテインの誕生・歴史
ホエイプロテインのホエイ(乳清)は、牛乳からできています。通常、牛乳には水分87%、乳糖4.6%、脂質4%、タンパク質3.5%、ミネラル0.7%という割合で含まれています。
その3.5%という少量のタンパク質ですが、その内20%がホエイ、80%がカゼインというたんぱく質の種類です。よくヨーグルトの上に溜まる液体が「乳清=ホエイ」です。
ホエイはかつて、チーズと凝乳製造の廃棄副産物とみなされていました。チーズと凝乳の生産過程で、牛乳は低温殺菌や接種などが行われ、レンネットエキスという酵素複合体を添加し、凝乳とホエイを分離します。そしてその80%のカゼインは各種チーズなどの原料となり、20%の液状のホエイは非常に美味しくない為、廃棄されていたというわけです。
しかしその後、研究によりホエイの美容効果などが実証され、現代では一般の人からアスリートまでが一般的に使用するタンパク源としてホエイプロテインの原材料となったのです。
ホエイプロテインの製造・できるまで
現在一般的に普及しているのは、粉末状のプロテインパウダーだと思いますが、この原料である上記で説明した液状のホエイとは遠くかけ離れていますね。
この原材料の液状のホエイは、タンパク質はなんと1%しか含まれていません。その他成分は乳糖5%、ミネラル0.6%、脂質0.2%、残り90%以上は水です。
この液状ホエイ原料を、ろ過処理などをし、乳糖や脂質、ミネラル類や水分を取り除き加工することによって、高タンパク質低カロリーで栄養豊富な高品質ホエイプロテインが出来上がります。
そしてこのろ過処理や加工過程の違いにより、コンセントレート(WPC)やアイソレート(WPI)などなど様々なホエイプロテインの種類ができるわけです。
ホエイプロテインの種類

現代では、安価で手軽に、毎日使用している人も多いホエイプロテインパウダーですが、その製造はかなり多くの工程を経て製造されています。その製造工程の差(種類)により、ホエイプロテインのタンパク質含有率は30%~95%と大きな幅があります。
ホエイプロテインは現在でも様々な種類があり、その数もどんどん増えています。それは科学の進歩や研究、各企業努力により、より高品質の製造方法が生み出されているからです。ここでは代表的な3種類のホエイプロテインを取り上げます。
ホエイプロテインコンセントレート(WPC)
ホエイプロテインコンセントレート(Whey Protein Concentrate)は、一般的に70%~80%のタンパク質含有率です。その他脂質2%、乳糖5~10%含有しています。
製造工程は、フィルターで膜処理されていくわけですが、微細な穴を有する膜を通して精密ろ過され、タンパク質濃度を高め濃縮します。そして噴霧乾燥し乳清タンパク質粉末、つまりWPCとなります。濃縮乳清タンパク質とも呼ばれます。
ホエイプロテインの中では、最も低価格であり1番人気で商品数も多く、ホエイプロテインコンセントレートが多くのシェアを占めています。コスパ最高!というところでしょう。
これからホエイプロテインを取り入れる人は、まずはコンセントレートの商品から探していくのが良いでしょう。
ホエイプロテインアイソレート(WPI)
ホエイプロテインアイソレート(Whey Protein Isolate)は、WPCの製法よりも、より精密にろ過されます。タンパク質からより多くの乳糖や脂質を取り除き加工処理がされ、タンパク質含有率は90%前後になり、WPCよりも低脂質・低糖質になります。
より多くの不純物を取り除くことでたんぱく質の純度が上がり、乳糖がほとんど含まれず、吸収もWPCに比べより早くなります。分離乳清タンパク質とも呼ばれます。
これによりホエイプロテインアイソレートはWPCよりも価格は高価になります。
カロリーを抑えたい人やより早く栄養補給したいスポーツ選手、また日本人に多い乳糖に耐性が低い人(お腹が緩くなったりする人)に最適です。
加水分解ホエイプロテイン(WPH)
加水分解ホエイプロテイン(Whey Protein Hydrolysed)は、WPIのタンパク成分の一部を酵素などにより加水分解し、より微細なペプチドとアミノ酸に分解したものです。
この加水分解によりタンパク質(アミノ酸)の分子が細かくなることにより、体内への吸収がより早くなります。高純度で無駄のない栄養を即効で筋肉へ補給します。
WPCやWPIよりも繊細な加工処理が必要なため、1番高価です。まだまだ新しい製法なので、商品数自体も少ないです。この3種類の中では最も高品質で最も高価な希少性の高いホエイプロテインと言えるでしょう。
ホエイプロテインの選び方

ホエイプロテインを取り入れる方の多くは、運動やトレーニングなどと併せ「筋肉をつけたい」「除脂肪筋肉量を増やしたい」など筋肉を効果的につけて引き締まった体を手に入れるため、良質なタンパク質の摂取を考えているからでしょう。
ここでは様々な角度から自分に適したホエイプロテインを見つける提案をします。
目的に沿った選び方をする
自身のホエイプロテインを取り入れる目的はなんでしょうか?
現在ホエイプロテイン製品はたくさん存在しています。そのそれぞれの製品の中には、栄養素の配合バランスが調整されていたり、他の栄養素が添加されている製品が多くあります。
つまりいくら同じホエイプロテインでも製品によって成分が全然違います。ダイエット目的でホエイを取り入れたい人が、ウエイトゲイナーなどの増量・バルクアップ用のホエイを使用しても望む効果は期待できません。目的に合ったホエイの選択をしましょう。
ダイエット目的であれば、ダイエットホエイやWPIなどカロリーが抑えられたホエイや、ソイやカゼインが最適でしょう。
筋肉増強目的であれば、クレアチン配合やBCAAを多く含んだホエイや筋肉の成長を促進させる栄養素がたくさん入ったオールインワンタイプのプロテインなどが最適と考えられます。
継続使用を考えて選ぶ
プロテインは1回摂取しても効果は、ほぼ実感がないでしょう。プロテインは特効薬ではありません。肉体づくりにも言えますが、継続してこそ効果が実感できます。
プロテインを続けるためには、人によって様々な要因があるでしょう。
味・飲みやすさ
美味しくないものは続けて摂取していくのは難しいです。「良薬は口に苦し」という言葉はありますが、現在プロテインはフレーバーも何種類もあり、味自体とても美味しいものが多いです。種類により当たりはずれはあるかもしれませんが、自分の好きなプロテインを探してください。
また例えば乳糖不耐症であれば、乳糖含有量が低いWPIが最適でしょう。
個人的には、僕自身、美食家なので(笑)継続して飲み続けるには、味はかなり重要な要素になります。
価格
プロテインの価格はメーカーや商品によってかなりの幅があります。継続利用するためには、かかるコストは重要です。プロテインなどのスポーツ栄養素やサプリメントにいくらかけれるか検討する必要があります。
現代は「安かろう悪かろう」という時代でもなく、コスパの優れた製品もたくさん出ています。国内メーカー・国内生産の製品は高い傾向にあり、海外メーカー・海外生産の製品は安い傾向があります。
国内製品は安心で手に入れやすさやブランドネームだけで価格が上がります。海外では有名メーカーでも国内ではマイナーで、低価格・高品質な製品もあるので、よく調べてみてください。
購入のしやすさ
意外と大事なのが購入のしやすさです。
国内有名メーカーなどの製品であれば、ドラッグストアなどですぐ購入できます。海外製品でもメジャーなものは、各ショッピングモールや国内サイトで購入でき、国内在庫が豊富であればすぐ届きます。海外製品のマイナーなものや海外にしか拠点がない場合、注文から到着まで2週間程度かかったりします。
前もって計画的に購入できる人は、特に関係ないかもしれませんが、プロテインが切れそうになって「すぐ買えない!切れてしまった!」となればモチベーションも下がってしまいます。
タンパク質含有率・含有栄養素
様々な製品を比較して検討する際、ひとつ比較対象とできるのが「タンパク質の含有率と含有栄養素」です。
例えばタンパク質含有率が80%のものは、プロテイン100gのうち80gがタンパク質という事です。一般的に筋肉をつける目的であればタンパク質含有率75%以上、80%前後のものが理想的です。タンパク質含有率が高いという事は、高いほどより効率的に無駄なく筋肉にアミノ酸を供給できるという事です。
その他、脂質や炭水化物の含有量やカロリーなどは目的に合ったものを選択すると良いでしょう。
安全性
プロテインは自分の体内にこれから継続的に吸収される食品です。安全性には十分注意を払い確認する必要があります。
日本製品は品質管理がしっかりしているため、安心して購入できるものが多いでしょう。海外製品に関しては、大手などほとんどは第三者機関の認定を受けていたり安心できるメーカーが多いですが、中には粗悪商品を製造しているメーカーもあるようです。
海外製品の品質を確認するのは大変ですが、特に注意して確認する必要があります。
ホエイプロテインは、自身の目的やトレーニングの目標、また摂取タイミングや価格などの要素を元に自分に合ったものを選びましょう。
一般的には、低価格で高タンパクなWPCが最適ですし、乳糖に抵抗があればWPI、アスリートやより効果を得たいのであればWPHが最適でしょう。また価格は上がる場合が多いですが、何種類かのホエイのブレンドや必要栄養素をたくさん含んでいるオールインワン製品もあるので、その他サプリメントを取り入れるのがめんどくさい人や何を摂ればいいかわからない人には最適な製品でしょう。
ホエイプロテインの効果最大化

プロテインには、ホエイプロテイン以外では、一般的に販売されているものでカゼインプロテインやソイプロテインなどがあります。プロテインである事には変わりないですが、原材料などの差でそれぞれ特徴があります。
この特徴を生かして、ホエイプロテインの適している使い方や利点をみていきましょう。特徴を活かして活用することこそ効果を最大化するために必要です。
ホエイプロテインの利点
ホエイプロテインを取り入れる事で体にはどんな利点があるのでしょう。
良質なタンパク質を摂取するためにホエイを活用しているわけですが、食事以外にタンパク質をプラスアルファ摂る方法は、ホエイ以外にカゼインや大豆タンパク質、卵タンパク質など様々な手段があります。しかし何故ホエイなのか…。
まずFAO/WHO(欧米の栄養評価専門機関)により発表されている「アミノ酸スコア」では、ホエイ・カゼイン・ソイ共にアミノ酸スコア100という良質なタンパク質食品であると証明されています。
アミノ酸スコア… FAO食糧農業機関、WHO世界保健機構により、その対象食品(タンパク質源)から、必須アミノ酸の得られる量と人体内で消化吸収できる量(バイオアベイラビリティ=生物学的利用能)を評価した格付けシステム
しかしこれだけでは、ホエイが特に優れているということにはなりませんね。
そこで、もっと詳しい研究によって、他のものよりもホエイが優れているということが実証されているデータをご紹介します。
必須アミノ酸の含有率No.1
先程のアミノ酸スコアでは、ホエイ・カゼイン・ソイ共に「良質なタンパク質食品」であると格付けされています。
この結果を少し詳しく見てみると、100g当たりの必須アミノ酸含有量は、平均してカゼインは45~49.3g、ソイは49~62g、ホエイは63~66gと、ホエイプロテインに含まれている必須アミノ酸が最も多いのです。
体内への吸収・利用効率No.1
対象食品にいくら多くのタンパク質が含まれているからと言って、それを体内で効率的に利用できなければ意味がありません。
摂取したタンパク質を、体がどれくらい「効率的に必須アミノ酸を利用できているか」という事を知るには、NPU(正味タンパク質利用率)という指標を用いて調べることができます。これは、摂取したタンパク質量と尿中に排出された窒素原子量を計測し算出されます。
その結果、ソイは61%、カゼインは76%、ホエイは92%というタンパク質使用率が示されました。
つまりホエイは、より多くの必須アミノ酸を含み、そこから得られるアミノ酸の利用効率も優れているのです。
ホエイプロテインの特徴
ホエイは、アミノ酸の含有量が多く、アミノ酸の利用効率は素晴らしいものです。
そして様々なタンパク質成分が含まれています。特に必須アミノ酸の中の「ロイシン・イソロイシン・バリン」という分岐鎖アミノ酸(BCAA)が多く含まれます。このアミノ酸は筋肉でタンパク質合成を促進する重要な成分です。
その他にも豊富な高濃度の必須アミノ酸を含み、タンパク質の合成・修復・成長促進を高めるのです。
さらに、忘れてはいけない重要な特徴が吸収率です。
ホエイは水に溶けやすいことが知られていますが、この素早く溶け込み消化される性質は、筋肉のタンパク質合成にとても効果的なわけです。
この特性が運動やトレーニングと組み合わされてホエイプロテインが使われる理由なのです。
ホエイプロテインの摂取タイミング
ホエイプロテインは即効性のあるタンパク質の摂取源です。
いち早くタンパク質を供給したいときは、ズバリ運動後やトレーニング後です。これは運動やトレーニング後などには、筋肉ではタンパク質の分解が起きるため、当然タンパク質を早く筋肉へ供給してあげることで、筋肉の損失を抑え筋肉増強効果が大きくなるからです。
タンパク質摂取ガイドラインでは、ワークアウト後に、筋肉でのタンパク質合成を最大化するには、タンパク質20~25g(内必須アミノ酸8~12g含む)を2時間以内に摂取するべきだと推奨されています。
つまりワークアウト後は、体が特に多くの栄養素を吸収できる状態にあるいわゆる「ゴールデンタイム」にあり、運動後30分~1時間以内のホエイプロテイン摂取により、筋肉内で起こるタンパク質の酸化・分解を抑え、再合成と修復を促進させることにより、無駄のない筋肉を適切に回復・増強・維持するのに一躍を買うわけです。
また補足として、1日の必要タンパク質量を十分とることも重要であると研究の結果実証されています。これは体づくりをしている人では、体重1kgにつき1.5g~2g(体重50kgの人なら75g~100g/日)の量が推奨されます。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
ホエイプロテインについて必要性やメリット、摂取方法や選び方まで理解して頂けたと思います。体は食べるものからできています。良質なプロテインの摂取が肉体づくりの第一歩と言えるでしょう。
最後にプロテインについてまとめて見てみましょう。
ホエイプロテインおさらい
- ホエイプロテインは、牛乳を原材料とし元々チーズなどの製造の副産物であり、廃棄されていたが、研究により現代では一般の人からアスリートまでが好んで使用するホエイプロテインの原材料となっている。
- ホエイプロテインの原材料となるホエイ(乳清)は、ろ過処理などの加工工程によりWPCやWPI、WPHなど様々なホエイプロテインの種類がある。
- WPC(ホエイプロテインコンセントレート)とは、最も一般的で流通量が多く低価格であり1番人気のホエイであり、タンパク質含有率は70~80%程度でコスパに優れている。
- WPI(ホエイプロテインアイソレート)とは、より精密に加工処理されており、WPCと比べ高価になるが、低脂質・低糖質であり、ほとんど乳糖が含まれていない。タンパク質含有率は90%前後と高く、タンパク質が高純度で体内への吸収がより早くより高品質である。
- WPH(加水分解ホエイプロテイン)とは、WPIのタンパク成分の一部を加水分解により、タンパク質をより微細なペプチドとアミノ酸に分解することで、高純度で無駄のない栄養を即効で筋肉へ補給することができる。ホエイの中では最高品質で最も高価な希少性の高いホエイプロテインである。
- ホエイプロテインの選び方は、自分の目的に合った成分のものを、継続使用するため「味や飲みやすさ・コストや購入のしやすさ」を考慮し、タンパク質含有率や含有栄養素を確認し、安全性が確認できる商品選択をする必要がある。
- ホエイプロテインは、タンパク質を摂取できる食品の中で、必須アミノ酸の含有率や体内への吸収・利用効率が最もよく、トレーニング後などに使用することで筋肉増強効果が大きくなる。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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