基礎代謝量とは何か・・。
基礎代謝量の正しい使い方を知っていますか?
ダイエットやボディメイク・肉体改造を始める際に、自身の基礎代謝量などの消費カロリーを調べて、正しい使い方で食事制限やカロリーコントロールなどの参考にすることは、効率よく効果的に取り組むための第一歩です。
インターネットなどで検索すると、「身長・体重・年齢・性別」を入力し基礎代謝量を算出するものが大多数ですが、計算式などの詳細が記載されていないものが多く、はじき出される数値もそれぞれ誤差があったりとどれを参考にすればよいのかわからない方が多いのではないでしょうか。
そんなあなたに・・・。
この記事を読めば、下記の正しい情報を手に入れ活用することができます。
- 基礎代謝量とは何かを知り、正しい使い方を知ることができる。
- ダイエット、ボディメイクなどの目標値を効率よく設定できるようになる。
- 食事制限やカロリーコントロールを効果的に取り組むことができる。
- 4パターンの自動計算ツールから自分にあった基礎代謝量を確認することができる。
目次
基礎代謝量とは ~基礎代謝と正しい使い方~

基礎代謝とは?
基礎代謝とは、消費カロリー(消費エネルギー)のひとつです。
消費カロリーは、大きく「基礎代謝・食事誘発性熱産生・生活活動代謝」の3つで構成されています。
その中で基礎代謝は、心身ともに安静な状態のときに、生命活動を維持するために必要最小限のエネルギー量のことです。
もっと砕いて説明すると、一切動かずに寝ていようが何をしていようが、生きるために勝手に消費されるカロリーです。
それでは生きるために、具体的にどのようなことでエネルギーを消費しているのか、下記の表を見てみてください。
臓器・組織 | 重量(kg) | エネルギー代謝量 | 比率(%) | |
(kcal/kg/日) | (kcal/日) | |||
全身 | 70.0 | 24 | 1700 | 100 |
骨格筋 | 28.0 | 13 | 370 | 22 |
脂肪組織 | 15.0 | 4.5 | 70 | 4 |
肝臓 | 1.8 | 200 | 360 | 21 |
脳 | 1.4 | 240 | 340 | 20 |
心臓 | 0.3 | 440 | 145 | 9 |
腎臓 | 0.3 | 440 | 137 | 8 |
その他 | 23.2 | 12 | 277 | 16 |
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト eヘルスネット 「加齢とエネルギー代謝」
基礎代謝の多くは、骨格筋・臓器・脳が消費していることがわかります。
特に1kg当たりの消費kcal(2列目)をみると脳と臓器が多くのカロリーを消費していますね。
ちなみに、骨格筋の基礎代謝は体を動かすためのものではなく、体温を作り出すエネルギーです。
上記を見てわかるように、基礎代謝を上げるというのは難しいです。
基礎代謝は、性別・年齢・体格(身長、体重、筋肉量)で決まってきます。
生活習慣で変えることはほぼできないのです。
基礎代謝を上げるには、体格を筋肉により大幅に大きくするか、体が体温を作り出す環境をつくるかのどちらかです。
筋肉量を増やすには、ウエイトアップしながら筋肉量を増やすしかありません。体温を作り出すには、室温を下げたり体を冷やすことをしなければなりません。
ダイエットやボディメイクに効果的ではない上、健康的にも良くありません。
さらにそこまでしても上がる消費カロリーは微々たるものです。
基礎代謝を上げる事を推薦するダイエットは目に見える効果はまずないでしょう。
厚生労働省では参照体重における基礎代謝量の推定値も発表されています。
参考までご覧ください。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
年齢 | 基礎代謝基準値(kcal/kg/日) | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal/日) | 基礎代謝基準値(kcal/kg/日) | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal/日) |
1~2歳 | 61.0 | 11.5 | 700 | 59.7 | 11.0 | 660 |
3~5歳 | 54.8 | 16.5 | 900 | 52.2 | 16.1 | 840 |
6~7歳 | 44.3 | 22.2 | 980 | 41.9 | 21.9 | 920 |
8~9歳 | 40.8 | 28.0 | 1,140 | 38.3 | 27.4 | 1,050 |
10~11歳 | 37.4 | 35.6 | 1,330 | 34.8 | 36.3 | 1,260 |
12~14歳 | 31.0 | 49.0 | 1,520 | 29.6 | 47.5 | 1,410 |
15~17歳 | 27.0 | 59.7 | 1,610 | 25.3 | 51.9 | 1,310 |
18~29歳 | 24.0 | 63.2 | 1,520 | 22.1 | 50.0 | 1,110 |
30~49歳 | 22.3 | 68.5 | 1,530 | 21.7 | 53.1 | 1,150 |
50~69歳 | 21.5 | 65.3 | 1,400 | 20,7 | 53.0 | 1,100 |
70歳以上 | 21.5 | 60.0 | 1,290 | 20.7 | 49.5 | 1,020 |
日本人の食事摂取基準 2015年版
基礎代謝の抑えるべきポイントは、2つ。
1つめは、性別・年齢・体格(身長、体重、筋肉量)による影響で変わるということです。
生活習慣などによる影響はほとんどないということです。
2つめは、消費カロリーの一部分で、約50~70%が基礎代謝ということです。

基礎代謝量の計測方法
基礎代謝量を図る方法は、身長・体重などの基本情報から計算する方法または体脂肪計などの機器で計測する方法または専門機関での計測する方法です。
身長・体重などの基本情報から計算する方法は、「身長・体重・年齢・性別」など基本情報をもとに、それぞれの機関などで開発された計算式により算出されます。計算式によりそれぞれ特徴がありますので、一概に良いとは言えません。
体脂肪計などの機器で計測する方法は、正確に実測しているように感じますが、実は上記計算式での方法と同じです。
体脂肪計なども基本データを入力し、計算式を使用し算出しているのです。しかしメーカーにより計算式が異なったり独自の方法で算出している場合もあるので不明点が多く精度が悪いことが多々あります。
専門機関での計測する方法は、専門の器具や設備のある大学病院などで計測できます。正確に計測可能です。
計測方法でのおすすめは、身長・体重などの基本情報から計算する方法です。
特に国立健康・栄養研究所で開発された計算式がオススメです。次章の「4タイプの計算式~自分の基礎代謝量を知ろう~」で詳しくメリット・デメリット含め記載しております。また自動計算もできますので実際に確認してみてください。
体脂肪計などでの計測は算出方法が不透明な場合が多く正確性にかけることが多いのでオススメはしておりません。 また、専門機関での計測は正確に算出されますが、そこまでの手間をかけて精密な基礎代謝量を知る必要はありません。ある程度正確な目安を把握できれば十分です。
このあと「基礎代謝の正しい使い方」で詳しく説明します。
基礎代謝の正しい使い方
基礎代謝の正しい活用方法です。
わかりやすく結論から言うと、自分の現在の基礎代謝量を「知っておく」だけで十分です。
先ほど述べたように、基礎代謝は生活習慣で変わることはほとんどありません。
基礎代謝は安静状態の時に消費されるカロリーです。
巷ではダイエットするために「運動や筋トレで基礎代謝を上げましょう!」「これを飲めば基礎代謝が上がり脂肪が燃えやすくなります!」という情報が溢れています。
しかしこれは痩せることには、効果的でも効率的でもなくほぼ意味のない行為でしょう。
筋トレで筋肉をつけることにより、基礎代謝は若干は上がりますが効果はほぼないに等しく、おやつを1回我慢した方がよっぽど効果的で効率的です。
あくまでも痩せるための原則は
「摂取カロリー < 消費カロリー」の状態をつくることです。
基礎代謝は、上げることを考えるのではなく、把握し、カロリーのコントロールの目安として使うことが効率的に効果的に目標達成するポイントです。
また、先ほど述べたように基礎代謝は、性別・年齢・体格(身長、体重、筋肉量)による影響で変化します。
つまり、ダイエットやボディメイクの進捗により体重や筋肉量の変化が伴ってきた場合は、基礎代謝にも変化がありますので、その都度自分の現状を把握し、目標設定とカロリーコントロールの目安を更新していく必要があります。
4タイプの計算式 ~自分の基礎代謝量を知ろう~

基礎代謝量の計算式は、様々な計算式があります。その中でも特に日本人向けに設計されている代表的な4タイプの基礎代謝量計算式を紹介いたします。
後半では、当方プログラムでも取り入れている日本人向けの高精度の計算式もご紹介します。
ハリス・ベネディクトの式(日本人改良版)
ハリス・ベネディクトの式は基礎代謝量を計算する方法で最も多く活用されている計算式でしょう。
病院や施設で患者さんの食事のカロリーを決めたりする場合もほとんどの施設でこの計算式が使われています。
注意点としては、こちらの式は18歳以上が対象となる点です。
また今回紹介しているものは、日本人向けに改良されているものではありますが、元々アメリカやカナダの人のために考えられた計算方法なので数値は高めに算出されます。
細かい計算ができ広く活用されていますが、太っている人には特に高く基礎代謝量が算出されてしまう傾向があるので注意が必要です。
下記が、ハリス・ベネディクトの式(日本人版)です。実際に入力してみてください!
ハリス・ベネディクト方程式(日本人版)
男性:66+(13.7×体重kg)+(5.0×身長cm)-(6.8×年齢)
女性:655.1+(9.6×体重kg)+(1.7×身長cm)-(7.0×年齢)
とてもシンプルな計算式ですが、男性と女性でそれぞれ計算式が異なるのが特徴です。
国立スポーツ科学センター(JISS)の式
国立スポーツ科学センターでの計算式は、アスリート用につくられたものになります。
当サイトではダイエットやボディメイクに重きを置いているためオススメはしておりません。
計算式は除脂肪体重を元に算出する計算式となっております。除脂肪体重を知るためには、脂肪量を知る必要があります。脂肪量を知るには、体脂肪率を知る必要があります。
そもそも体脂肪率の測定は、基本的に体脂肪計を使用するでしょう。その場合、メーカーや機種または体の水分量の変化により誤差が大きく、体脂肪率を正しく計測するのが難しいのが現状です。
国立スポーツ科学センター(JISS)の計算式
基礎代謝量=28.5×除脂肪体重
除脂肪体重=体重-脂肪量
脂肪量=体重×体脂肪率
厚生労働省 基礎代謝基準値から算出
厚生労働省では「日本人の食事摂取基準(2015年版)」に示される基礎代謝基準値(P66) を元に基礎代謝量を算出します。
この基礎代謝基準値は、多くの人の基礎代謝の平均を取ったものになります。
つまり自分の体重・身長がこの平均値に近ければ数値は正確になりますが、平均ではない場合全くあてになりません。
太っていたり痩せていたりする場合、正確な数値はでませんのでおおまかな目安としてしかみることができません。
性別 | 男性 | 女性 |
年齢 | 基礎代謝基準値(kcal/kg/日) | |
1~2歳 | 61.0 | 59.7 |
3~5歳 | 54.8 | 52.2 |
6~7歳 | 44.3 | 41.9 |
8~9歳 | 40.8 | 38.3 |
10~11歳 | 37.4 | 34.8 |
12~14歳 | 31.0 | 29.6 |
15~17歳 | 27.0 | 25.3 |
18~29歳 | 24.0 | 22.1 |
30~49歳 | 22.3 | 21.7 |
50歳以上 | 21.5 | 20.7 |
上記の表で「基礎代謝基準値」を確認し下記に実際に入力してみてください!
厚生労働省の計算式
基礎代謝量=基礎代謝基準値×体重(kg)
国立健康・栄養研究所の式(当サイト推奨)
こちらは、国立健康・栄養研究所が新たに開発した推定値になります。
様々な体格の人でも推定できるよう、 2000年以降に20~70歳代の日本人男女(男性71名、女性66名)を対象に測定された、日本人の基礎代謝量のデータに基づき新たに開発したものです。
下記が、国立健康・栄養研究所の式です。実際に入力してみてください!
国立健康・栄養研究所の式(Ganpule et al., 2007)
((0.1238+(0.0481×体重kg)+(0.0234×身長cm)-(0.0138×年齢)-性別*1))×1000/4.186
注)*1;男性=0.5473×1、女性=0.5473×2
日本人のデータに基づき測定されていることもあり、日本人に合った高精度の計算式です。
当方でもこちらの計算式を採用しております。
4タイプの計算式を比較!!

4タイプの計算式で実際に入力してみましたか?
入力してみると、「身長・体重・年齢・性別」など同じ数値を入力しても結果に誤差があるはずです。
さらに国立スポーツ科学センターは計算方法が全く異なるので結果は変わっているかと思います。
実際に比較してみましょう。「身長・体重・年齢・体脂肪」を変化させてみます。
基礎代謝量の違い
基礎代謝量で見てみると・・
1番高いのは、ハリス・ベネディクト > 国立健康・栄養研究所 > 厚生労働省と続いて低くなっていきます。
ハリス・ベネディクトの式は、元々欧米人のために考えられた計算方法なので数値は高めです。
厚生労働省の式は、筋肉量が考慮されていないため筋肉量が多いと代謝量も高くなるので差異が大きくなります。
計算式の共通点と特徴
- 年齢が増すにつれ、基礎代謝量は減っていく(全共通)
- 体重が増えるにつれ、基礎代謝量も増えていく(全共通)
- 身長が高いほど、基礎代謝量も増える(厚生労働省は除外)
- 体脂肪が増えるにつれ、基礎代謝量は減っていく(国立スポーツ科学センターのみ)
結局どれが正しいの??
結論から言いますと、基礎代謝量の計算値は全て推定値です。
つまりどの計算式が正しいとは一概には言えません。あくまでも目安です。
ただ用途によって使い分けるのはいいかもしれません。
無理なダイエットやキツイ食事管理をするよりも、楽に長期的に取り組みたいという人はハリス・ベネディクトの式を使い、高めの数値で取り組む。
逆に筋肉増強し、現在の基礎代謝量を確認したい場合は国立スポーツ科学センターの式で調べるといいでしょう。
当サイトでは、国立健康・栄養研究所の式を推奨しております。
当方プログラムや実際の取り組みの中での経験からも目安として精度の高い計算式だと思います。
また下記記事では、基礎代謝を含めた1日の消費カロリーの計算もすることができます。
まとめ ~基礎代謝はこれでバッチリ~

いかがでしたでしょうか?
基礎代謝を知り、これからダイエットやボディメイクに取り組む際の正しい目安として活用できるはずです。
最後に大事なポイントをまとめてみましょう。
基礎代謝のポイントをおさらい
- 基礎代謝とは、何もしていない状態でも、生きるために勝手に消費されるエネルギー量である。
- 消費カロリーのうち、50~70%を占めている。
- 基礎代謝量は、「性別・年齢・体格(身長、体重、筋肉量)」による影響で変化するため、ボディメイクの進捗(体重や筋肉量の変化)により基礎代謝量も変化する。
- 生活習慣などによる影響で変化することはほぼないため、基礎代謝量を上げる努力は、ほぼ意味がない。
- 基礎代謝を上げる事を考えるよりも、数値を把握し、摂取カロリーと消費カロリーの管理の目安として取り入れることが重要。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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