プロテインは、いつ飲むのが効果的なのか。
広く知られているのは、トレーニング後の摂取が効果的とされているでしょう。
この記事を開いた方は、それ以外に寝る前にプロテインの摂取を考えているか、飲む必要があるのか気になっていることでしょう。
この記事では、夜寝る前にプロテインを摂取する意味はあるのか、どのような効果があるのか、はたまたどのような目的で摂取するのかなど、科学的実証を元に詳しく解説していきます。
目次
就寝前にプロテインを摂取は必要?

寝る前に飲むべきなの?
日常的にプロテインを取り入れている方は、目的にもよりますが、多くの人はトレーニング後にプロテインを摂取していることが多いでしょう。
これは、トレーニング後は筋肉が合成されやすく、栄養素の吸収に敏感になっている時間帯であり、筋肉の成長を最大限効果的にするためでしょう。理にかなっていますね。
では、就寝前はどうなのでしょう。 トレーニング後などに比べ、特に筋肉成長反応が活発というわけではありません。
しかし、近年多く議論されている内容は、睡眠により空腹状態になると筋肉増加に悪影響になるのではないかということです。
つまり就寝前にプロテインを摂取することで、悪影響をなくし筋肉成長を促進できるか否かということです。
少し掘り下げてみてみましょう。
筋肉の維持・増強するためには
ダイエットを考えている人は、なるべく筋肉を落とさず維持し脂肪だけを落とすこと、バルクアップを考えている人は、なるべく効率よく筋肉を増やしていきたいと考えていることでしょう。
そのためには、筋肉とたんぱく質の合成を優勢にし、なるべく分解をさせないようにしなければいけません。
分解が起こる条件は、睡眠中などの空腹時にたんぱく質のバランスがマイナスになることにより起こります。つまり睡眠中なども常に体内ではエネルギー消費が起こっており、たんぱく質の合成に必要なアミノ酸が不足すると、合成が止まり分解を引き起こしてしまうという事です。
これは筋肉を維持・増強するためにはとても不都合です。就寝前にプロテインの摂取で、たんぱく質を補給することは、筋肉維持・増強するために必要かもしれません。
それでは次の章では、就寝前にプロテインを摂取すると、具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきたいと思います。
プロテインの就寝前摂取のメリット

多くの人は、1日の1/3程度の時間を睡眠に使っていることでしょう。
例えば就寝の3時間前までに食事を済ませ8時間の睡眠をとる人の場合、11時間程度何も摂取しない状態となります。食べるものにもよりますが、当然朝起きたら空腹の場合が多いでしょう。
空腹の時間が長いという事は、それだけ分解が多くなってしまうという事です。そこで就寝前にプロテインを摂取することで分解を抑えることができます。
具体的な効果をみていきましょう。
たんぱく質合成率の向上
就寝前にプロテインを摂取した場合、摂取していない場合に比べ体内のたんぱく質合成率が著しく高くなることがわかっています。
おもしろい研究結果が発表されていますのでご紹介します。
とある研究で若い男性グループを2つのグループに分け、両グループとも一連の抵抗運動(筋トレ)をし、被験者グループの一方は体重に基づいた同条件の一定のカゼインプロテインの摂取、もう一方は偽薬を摂取し一晩休んでもらい回復レベルを測定しました。
結果は、偽薬摂取の被験者グループに比べ、カゼインプロテイン摂取の被験者グループの方が、たんぱく質合成率は20%以上優れており効果的に消化吸収されていたことが実証されています。
※カゼインプロテインについては次章にて補足記述しています。
つまり就寝前にプロテインを摂取することで、摂取しない場合に比べ筋肉とたんぱく質の合成機能は高まるという事です。
筋力アップ・筋肥大効果の向上
就寝前にプロテインを摂取した場合、摂取していない場合に比べ筋力(強度)が上がり、筋肉量の増加率もアップすることがわかっています。
ここでもひとつ、研究結果をご紹介しましょう。
この研究も若い男性グループを2つのグループに分け、それぞれ就寝前にカゼインプロテイン摂取グループと偽薬摂取グループに分けられ、全員に約3か月の段階的なトレーニングプログラムを実施しました。
筋肥大測定に「二重エネルギーX線吸収測定法」と「CTスキャン」、トレーニング前後の筋繊維測定に「筋生検」、筋力は1RMテストで測定と精密に測定しました。
結果は、偽薬摂取の被験者グループに比べ、カゼインプロテイン摂取の被験者グループの方が、速筋繊維で筋肉量増加率が著しく優れ、大腿四頭筋は断面積で75%の増加率、さらに1RM強度でも26%の増加となりました。
つまり就寝前のプロテインの摂取で、たんぱく質バランスがプラス状態になり著しい効果が出ていることが実証されているのです。
代謝の促進
就寝前にプロテインを摂取した場合、摂取していない場合に比べ代謝(エネルギー消費量)が向上することがわかっています。
こちらも研究により実証され、平均体脂肪率16%の若い男性グループを就寝前にプロテイン摂取グループと偽薬摂取グループに分け、同条件の中、翌朝起床直後の「安静時エネルギー消費量」を測定しました。
その結果、偽薬摂取の被験者グループに比べ、プロテイン摂取の被験者グループの方が、安静時エネルギー消費量は5%高いことが実証されました。
つまり就寝前のプロテインの摂取で、翌朝の代謝が高くなるのです。
睡眠の質の向上
就寝前にプロテインを摂取した場合、摂取していない場合に比べ睡眠スコアが向上することも確認されています。
プロテインの摂取は、アミノ酸のLトリプトファンの脳への取り込みを促進させ、これは5ヒドロキシトリプトファンという神経伝達物質の前駆体です。睡眠サイクルに関する主要神経伝達物質のひとつになります。
この研究は、上記の関係から睡眠に対する食事療法の効果を検証した研究の中で、食事に含まれるたんぱく質が多いと、覚醒回数を減らしたり睡眠改善効果があり、総合的に睡眠スコアが向上するとわかりました。
これは、食事全体の傾向にもよりますが、プロテイン摂取によりたんぱく質摂取の割合を増やすことにより、睡眠の質が上がるということは明確になっています。
このように就寝前にプロテインを摂取するメリットが数多く実証されているのです。ここまで実証されていると、就寝前にプロテインを取り入れる事を考えることでしょう。
しかしここで一度プロテインの種類についても触れてみましょう。
その理由は、プロテインにはたくさん種類があり、その種類により効果が変わってくるからです。次の章で詳しく見てみましょう。
就寝前に効果的なプロテインは?

プロテインには様々な種類があり、プロテインを取り入れる目的によって選択をすることが良いでしょう。
プロテインは大きく分けて「ホエイ・カゼイン・ソイ」の3種類があります。ここでは就寝前摂取のプロテイン選択として、ホエイプロテインとカゼインプロテインを見比べていきます。
ホエイプロテイン
ホエイプロテインは、コンセントレート・アイソレートなど製法により様々なものがあります。ここではホエイプロテインとして一括りにさせていただきます。
特徴として、分岐鎖アミノ酸濃度が高く筋肉とたんぱく質の合成を素早く促進させる効果があります。体内への吸収が早く、たんぱく質合成に即効性があるということです。
カゼインプロテイン
カゼインプロテインは、必須アミノ酸を多く含みます。
特徴として、胃の中で溶けず固まり、たんぱく質の大きな粒子となります。つまり消化に時間がかかりアミノ酸がゆっくりと持続的に血流へ吸収されていきます。より長い時間、たんぱく質レベルをプラスに保ってくれる働きをします。
ホエイ VS カゼイン
簡単にホエイプロテインとカゼインプロテインについて特徴をご紹介しました。
就寝前にはどちらのプロテインが効果的でしょう?
トレーニング後は、より早く体内に吸収されたんぱく質合成を素早く行いたいので、ホエイプロテインがとても効果的でしょう。
しかし就寝前にプロテインを飲む目的は、睡眠中にたんぱく質レベルがマイナスになり分解が起こるのを防ぎたいわけです。つまりカゼインプロテインが就寝前に摂取するプロテインに適しているということがわかります。
研究では、ホエイはアミノ酸が短時間で大幅に増加するのに対し、カゼインはアミノ酸濃度を小幅に、より長時間引き上げたんぱく質の分離を抑制することがわかっています。
つまり、ホエイはたんぱく質の合成を高める効果が強く、カゼインはたんぱく質の分解を抑制したんぱく質バランスを維持する効果が強いという事です。
従って、分解が最も起こりやすいのは睡眠時などの空腹時であるため、就寝前はカゼインプロテインの摂取が効果的と言えるでしょう。
プロテインの就寝前摂取のデメリットは?太らないの?

ここまでは、就寝前にカゼインプロテインを摂取することによる効果やメリットをお伝えしてきました。たくさんの研究結果により様々なメリットをわかっていただけたかと思います。
しかしデメリットはないのでしょうか?
ここでは最後にデメリットはないのか、また就寝前に摂取して太ってしまう心配はないのか?みていきたいと思います。
正直あまりデメリットが見つからないのでこじつけになっている部分はありますが参考までにご覧ください。
就寝前のプロテイン摂取は太る!?
睡眠時は、消化機能など体の機能が低下するため太るというのは一般的な考えでしょう。
結論から言うと、プロテインも種類によって太ります。
それは、ホエイプロテインの場合に注意が必要です。ホエイプロテインは吸収が早いため、トレーニング後には最適なプロテインですが睡眠前の摂取には向いていません。
トレーニングなどの身体活動なしで摂取した場合、摂取したホエイの一部はすぐに脂肪として蓄えられるか分解され排出されてしまいます。これでは全く意味がなくプロテインの無駄遣いになってしまいます。
よって就寝前に摂取するプロテインに、ホエイを選択した場合はデメリットとなります。
プロテイン摂取のタイミングは重要ではない!?
この説に関しては、プロテインの摂取は「就寝前に効果的」「トレーニング後に効果的」という話を全て覆してしまうお話ですが、タイミングは重要ではないという説もあるということは認識しなければなりません。
こちらの研究では約500人を対象とした分析で、プロテイン摂取に関して筋力と筋肥大の有益な変化は、摂取タイミングよりも総摂取量によるものと結論付けています。
これは、1日のプロテイン摂取量が体重1kgあたり約1.6gという十分な摂取であれば、摂取タイミングは筋肉合成と正味たんぱく質バランスに最低限の影響しか及ぼさないと確認されています。
以上2つが考えられるデメリットと言えるでしょう。
しかし、就寝前にプロテインを摂取することのメリットは様々あり、就寝前に飲むことは1日のたんぱく質摂取量を増やすことができたり、睡眠の質を上げる事も確認されています。
また、プロテイン摂取ガイドラインでは、プロテインの摂取に関して筋反応を最適化するには、ホエイプロテインとカゼインプロテインを組み合わせた摂取を推奨しています。
最近では、多くのメーカーがホエイとカゼインをブレンドした商品を販売しています。目的に合わせて自分に合った取り入れ方をしてみてください。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
夜寝る前にプロテインを取り入れるべきなのか、たくさんの検証結果を基にご覧いただきました。
最後に就寝前のプロテイン摂取についてまとめて見てみましょう。
就寝前のプロテイン摂取のおさらい
- 睡眠中などの空腹時は、たんぱく質の分解が起こりやすく、筋肉の維持・増強のためには不都合なため、就寝前のたんぱく質の補給をすることで分解を抑える効果が確認されている。
- プロテインは様々な種類があり、就寝前に摂取するのはカゼインプロテインが効果的である。
- 就寝前にカゼインプロテインを摂取することにより、たんぱく質合成率の向上・筋力と筋肥大効果の向上・代謝の促進・睡眠の質の向上が見込まれることが実証されている。
- 注意点として、就寝前摂取でカゼインプロテインは効果的だが、ホエイプロテインは吸収が早いプロテインのため、脂肪として蓄えられたり分解されてしまい無駄になってしまうためプロテインの正しい選択が必要になる。
- プロテイン摂取のタイミングは重要ではないという研究結果もあるため、効果的にプロテインを活用するため、この事実も考慮して1日全体でのプロテイン摂取量も考え取り入れていけば効果的である。
最後までお読みいただきありがとうございます。
質問やご意見・ご要望などございましたら、お気軽にお問い合わせ・コメントくださいませ。SNSシェア・コメント・いいね!などしていただければ、さらに喜びます!
今後も役立つコンテンツを随時公開していきますので、これからも応援よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。