食事誘発性熱産生とは何か・・。
少し難しい言葉ですね。
ダイエットやボディメイク・肉体改造を始める際に、自身の基礎代謝量などの消費カロリーを調べて、正しい使い方で食事制限やカロリーコントロールなどの参考にすることは、効率よく効果的に取り組むための第一歩です。
インターネットなどで検索すると、基礎代謝量などの消費カロリーの計算方法や代謝の上げ方など様々な情報が飛び交っています。
しかし、詳細や信憑性が記載されていないものが多く、どれを参考にすればよいのかわからない方が多いのではないでしょうか。
この記事を読めば、下記の正しい情報を手に入れ活用することができます。
- 食事誘発性熱産生とは何か、正しい情報を知ることができる。
- ダイエット、ボディメイクなどの目標値を効率よく設定できるようになる。
- 食事制限やカロリーコントロールを効果的に取り組むことができる。
目次
食事誘発性熱産生とは ~基礎知識と正しい使い方~

食事誘発性熱産生とは?
食事誘発性熱産生とは、消費カロリー(消費エネルギー)のひとつです。
消費カロリーは、大きく「基礎代謝・食事誘発性熱産生・活動時代謝」の3つで構成されています。
その中で、食事誘発性熱産生とは、食事をした際にカラダが温かくなったり汗が出たり、食事を摂った際にみられるエネルギー消費の増加のことを指します。
消費カロリーの一部分で、約10%が食事誘発性熱産生ということです。

食事誘発性熱産生が起こる要因は2つ。
- 「噛む」ことによる熱産生
- 摂取したものを「吸収・消化」することによる熱産生
という要因が関与していると考えられています。
噛むことで、交感神経活動が活性化され、褐色脂肪細胞による熱産生が高まり、さらに消化・吸収によりエネルギー消費が高まっているわけです。
食事誘発性熱産生 – DIT / 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット
食事誘発性熱産生(DIT: Diet Induced Thermogenesis)
または、特異動的作用(SDA: Specific Dynamic Action)ともいいます。
栄養素の種類により消費エネルギーが異なる!?
食事誘発性熱産生でどれくらいエネルギーを消費するかは栄養素の種類によって異なります。
たんぱく質のみを摂取したときは、摂取エネルギーの約30%
糖質のみを摂取したときは、摂取エネルギーの約6%
脂質のみを摂取したときは、摂取エネルギーの約4%です。
しかし栄養素を単体で摂取することはできませんので、通常の食事はこれらの混合です。
摂取エネルギーの約10%程度が食事誘発性熱産生による消費カロリーになります。
この各栄養素による消費エネルギーの数値をみると、「たんぱく質を多く摂取すれば消費カロリーが上がる!」と見えますが、多く摂るとそれだけ摂取カロリーも増えるので、たんぱく質を増やすことで痩せることはないでしょう。
しかし、他の栄養素より消費の割合は多いので、摂取カロリーを抑えつつ、高たんぱく質食品を多く摂ることは効果的だと言えます。
食事誘発性熱産生を高めることは可能!?
結論からお伝えすると、食事誘発性熱産生を高めることは可能です。
つまり代謝を上げれます。
しかし、ここでポイントです。
代謝を上げることはできるが、上がる割合が低すぎて、ダイエットに効率的とは言えません。
詳しく説明していきましょう。
様々なインターネットや広告で、「ダイエット効果!〇〇成分配合!」「〇〇を食べれば代謝アップ!」「〇〇は朝食に摂るとダイエット効果あり!」などの情報を多く見かけます。
しかし、この情報は間違ってはいませんが、正解とも言えません。どれも販売努力をしているのでしょうが、誇大広告気味なところです。
基本的に食べて痩せる食品や飲料、商品はありません。
確かに、食事の摂取方法や摂取時間としてよく噛まずに飲み込んだり、流動食だけを摂る場合や夜遅くに摂取する場合に比べると、よく噛んで食べたり早い時間に食べたほうが食事誘発性熱産生は高くなるといわれています。健康的にもいいです。
温かいものや体温を上げやすい食材の摂取も食事誘発性熱産生のアップに繋がります。
また加齢や運動不足で筋肉が衰えると、基礎代謝が低下するだけでなく食事誘発性熱産生も低下します。逆にトレーニングで筋肉を増やすと食事誘発性熱産生は高くなるとされています。
確かに誇大広告気味に見えるものも間違ったことは言っていません。
しかしその食事誘発性熱産生自体、消費カロリーの10%に過ぎません。努力しても10%が30%に上がるということもありません。
ダイエットの原則は「消費カロリー>摂取カロリー」でしかありません。
ダイエットやボディメイクに効率的に取り組むのでしたら、原則を意識した方が近道と言えます。
食事誘発性熱産生を上げる方法
食事誘発性熱産生を上げる取り組みは、ダイエットには効率的・効果的な方法ではありません。
しかし健康面にとっては良いので、紹介いたします。
よく噛んで食べる!
食事はよく噛んで食べる方が、流動食だけを摂る場合よりも食事誘発性熱産生が上がります。交感神経への刺激による代謝量の増加です。
食事は夜遅くは避ける
朝型の生活リズムにした方が、夜型の生活リズムよりも食事誘発性熱産生が上がります。夜遅くは食事誘発性熱産生が低下するという論文が発表されています。
カラダを温める
体温の差は代謝量の差も大きくなります。温かいものを摂取したり、運動してカラダを温めることにより基礎代謝や食事誘発性熱産生を上げる事ができます。
たんぱく質を多く摂る
たんぱく質のみでの消費エネルギーが高いことに加え、筋肉をつくるのに欠かせない栄養素です。筋肉を増やすことにより代謝が上げります。
日本栄養・食糧学会誌「食事時刻の変化が若年女子の食事誘発性熱産生に及ぼす影響」
厚生労働省 e-ヘルスネット 食事誘発性熱産生
食事誘発性熱産生の正しい使い方
食事誘発性熱産生の正しい活用方法です。
わかりやすく結論から言うと、食事誘発性熱産生を「知っておく」だけで十分です。
先ほど述べたように、食事誘発性熱産生は意識するほどの代謝量を変えることはほとんどできません。全て微々たるものです。ダイエットには効果がほぼありません。
規則正しい健康的な生活や食事を心がけることにより食事誘発性熱産生は上がりますので、健康的な生活を意識する方が良いでしょう。
巷では「飲んで痩せるサプリ」「〇〇を食べれば痩せる」などの情報が多くありますが、騙されないようにしましょう。
サプリメントや食材は、ダイエットのための不足栄養素の補給や体づくりのための補助と考えましょう。
あくまでも痩せるための原則は
「摂取カロリー < 消費カロリー」の状態をつくることです。
食事誘発性熱産生は、上げることを考えるのではなく、長期的な健康への取り組みとして取り入れていければいいでしょう。
まとめ ~食事誘発性熱産生はこれでバッチリ~

いかがでしたでしょうか?
食事誘発性熱産生を知り、これからダイエットやボディメイクに取り組む際の正しい目安として活用できるはずです。
最後に大事なポイントをまとめてみましょう。
食事誘発性熱産生のポイントをおさらい
- 食事誘発性熱産生とは、食事をした際に体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されるエネルギーである。
- 消費カロリーのうち、10%を占めている。
- 栄養素の種類により消費カロリーが異なり、たんぱく質のみ=約30%、糖質のみ約6%、脂質のみ約4%(通常の食事はこれらの混合なので摂取カロリーの10%程度)である。
- 食事誘発性熱産生を上げることはできるが、上がる消費カロリーは少ないため、ダイエットには、ほぼ効果がない。
- 食事誘発性熱産生を上げる事を考えるよりも、健康的な生活を心がけ長期的な健康への取り組みとして取り入れることが重要。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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